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邂逅の章 <青き竜と青白き輝き> 其の二

遷都物語 静城編

── 宮廷内 謁見を終えた親王の私室 ──


二人の男がざっくばらんに会話をしている。

口調と会話の内容からは、上下関係が伺えるのだが、同じ場に座り込むそれは実に奇妙な構図に見えた。

もっとも他に眼などないのだが。

明らかに高貴な生まれの男は、よくよくみれば異国の顔立ちともとれる片割れの男に問いかける。

ひじを付き不遜とも親しげにも取れる表情で。

「なあ弥彦、先ほどの種次の意見、主はどうみる?」

「殿下、マナによれば参議どのにはつまるところ未来がありませんな」
畏まっている男も、妙な親近感で答えを返す。

「しかしなあ、種次の永岡における支配の在りようは誠に惜しいものぞ、地の利も道理にかない今のところ吉とは思うのじゃがな」

「大局から申し上げるならば、後の世の安泰の為に限るならば在りうる道程かと、安泰と申すならばではありますが」

「畏れながらそれよりも殿下に降りかかる災いが、わたくしめには気に病むのですが…」

「むろんわかってはおる。サトリの景もそれを示す道もわしにはみえてはいる。じゃがそれも含めての事であるがな」

二人の会話は、常人には思いもよらぬ境地からのようである。

真名に悟りとは人の定めを映し出す力なのか。不可思議な会話と出来事は、人の眼にも触れることなく宮廷内の一室で繰り広げられているのだ。ひっそりとしかし確実に。

「殿下のお考えとあらば、わたくしめからは異論なぞござりませぬ」

「ならば早々に押し進めることにせよ。ただし…内密にな」

「…御意」

話を終えた水弥彦はその青白く輝く双眸を閉じて深々と一礼をし、座したまま幻のごとく怪しくかき消えはじめてゆく。

それをさも当たり前のように見つめる耶麻部親王も、金色に輝く瞳を閉じて思案を始めていた。
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邂逅の章 <青き竜と青白き輝き> 其の一

遷都物語 静城編


羅城門から朱雀門へと続く大路を一人の男が歩いている。

どんな手管を使ったのであろうか、いつもは権限を笠に勿体ぶって足止めをしがちな顔調べも、その男は麒麟とだけ名を名乗りスルリと通り抜けていた。

異国風な顔立ちを僧形にそぐわない長い髪で飾り落ち着きなく伺い歩くさまは、麒麟と名乗った男を得体の知れない胡散くさで包んでいた。

「それにしてもここは都にしては人通りも少ねえし、道幅だけ広く殺風景きわまりねえ」

確かに麒麟のつぶやくとおり、ところどころに建っている寺院たちもいずれも古ぼけて映っている。

大陸人麒麟にとってここは、かの長安と比べ見劣りがするのは仕方のないことだったかもしれない。

この時代の静城京は、かつて繁栄を誇っていた頃よりもやや影が薄く淀んだ空気がすべてに蔓延していた。

「所々が濁って澱んで、都の大路のこんな片隅にも蠢いてるようじゃしょうがねぇとしか思えねえな」

キリンは見つめる先に動くものさえないとゆうのに、さも何かを見つけたかのように近づいてゆく。

「瘴虫の類だな。こりゃあ」

確かに禍々しい空気が漂っているようだ。

はっきりとは見えないが小刻みに蠢くかのように嫌な気が見て取れる。

あと半歩ほどの距離にまで近づいた頃だろうか、一瞬キリンの内なるものが垣間見えた。

それからそれは徐々に消えてゆき、姿を潜めて気配までもなくなる。

そうかと思ううち、異様なまでにキリンの口が広がってゆくではないか。

両耳まで避けた口がかっぱりと開けられ、頭の半分ほどが後ろにガクリと垂れ下がる。

その大きく広った裂け目からおぞましい何かが顔をのぞかし、そのまま這い出し始めた。

あくまでも常人には見えもしない出来事であったのだが。


ときは延暦元年、避けようのない時代の流れの始まりの年でもあった。

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邂逅の章 登場人物

遷都物語 静城編

人物紹介




忌部弥彦_いみべのやひこ

 官位は少納言 耶麻部親王の副官  神祇官_じんぎかんの水弥彦と同一人物

 四聖獣青龍 五常の主(仁流 礼流 義流 智流 信流の五者 それぞれ不可解なすべを使うと言われている)




耶麻部親王_やまのべしんのう

 後の平蘭京の帝

 武帝 輝帝 さとり 多くの呼び名の主



史 麒麟_し きりん

 大陸よりの道士 渡来の目的は不明





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序文

遷都物語 静城編



序文



万物全てに マナありて     示すとおりに流れゆく

流れを拒む イシあれば   ミチは不穏に揺れ動く

幾世も全ては民ありて 想いと終わりに流れ着く

思わぬサマにと 淀み着く








解説

マナ  まことのな(真名)

物の本質や真の姿を表す色合いや形など
通常は言葉によって示されるもの
常人には不可知の様相

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追想 2

双子の神


敵軍の本陣を取り囲む小柄なドヴェルグの群れを大概なぎ倒した狂戦士は、狂った咆哮を上げ続けるオークが大半を占める敵の主軍と対峙した。

「こいつらなら、相手にとって不足ねーな」

不敵な笑みを浮かべ、狂えるモノどおしの死闘が始まる。

狂戦士のつるぎはオークの胸当てに食い込み硬い毛に覆われたその躯体を真っ二つに刻んでゆく。紅蓮の閃光を閃かしながら。

吹き上がるどす黒い鮮血に十数体ほど染め上げた頃だろうか、オークの集団の中心から異様な暗雲が漂い始めた。

「ん?なんだ?」

眼球を裏返し泡を吹きながら痙攣し始める剛獣達。

「カーロン!気をつけるのじゃ!デ・ジェネレイションじゃ」ルナンの叫びが上がる。

「なんだそりゃ?」邪険を構え直し異変に備える戦士。

「退行化した[シャーク]は素早いぞ!」

叫びが消えぬうちに、剛毛が抜け落ちてのっぺりとした姿にと変わり始めた白い影が目に見えない速度で戦士に次々と襲いかかる。

元の鋭い爪は無数の牙のように噛み傷のごとく戦士を傷つける。

「こいつは防ぎきれねえぜ!なんとかならねーか?」

必死でツルギで防ごうにも、無数の牙は閃光のようにカーロンを追い詰めていた。

「今、やっておる!次元の扉を開くから其処で立ち向かうのじゃ!」

戦士の脇に光りだした紫の光球に飛び込むと世界が緩慢に動き出した。

相手の動きがゆっくりと見えはじめたのだ。

其れに合わせてツルギを振りかざす戦士。しかし自らの腕も鉛のように重く緩慢にしか動けない。

「これでどうしろってんだルナン?」見える分だけ攻撃を交わしながら叫びをあげる。

「何も主が素早くなるわけではない、見え出した敵を打ち取るのは主の仕事じゃ」

「くそったれめ!」

緩慢にしか動かない腕を渾身の力を込めて降り出す戦士。

襲いかかる牙の軌道を察知し交わす動作に合わせ最短最良の動きでツルギを振り払う。

苛立ちが募る緩慢な紫の世界で必死の形相で戦い続けるカーロンの姿は、他のモノの目からは白い影と同じく目に見えない赤い残像となって映し出されていた。

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追想 1

双子の神


ー 大陸北西部 ユグドラス高原 ー

「いかん!カーロン!布陣が崩れ始めおった!」

「ちっ!!またあの小僧か!?」

紫の魔女の声に終わりなき狂戦士が舌打ちをした。

押し寄せるドヴェルグの群れは、長い腕を振りかざし、手にした斧や十字鍬をやみくもに振り回しながら味方の軍列を突き崩していた。

「このぉ!チビどもがあ!!」

最前にいた戦士は、鬱陶しく立ちはだかる小柄な軍勢を一閃し踵を返す。

「ルナン!!ポリティシャンへの道を!!」

戦士の声に乱れ惑う争いの場に一筋の光が渡る。

その紫の輝きの筋を駆けながら、戦士は次々と血潮の飛沫を上げてゆく。手にした邪剣を閃かせながら。

後尾に群がる敵を切り崩している内に、逃げ腰で這いずる若者の姿が垣間見えた。

その無様な人影を、すかさず剣の腹で打ち飛ばし、怯え顔の横にずぶりと邪剣をつきたてる。

「小僧!言っておいたよなあ?大将のてめえが逃げ出しちまったら、敵の軍勢を何百匹も切り殺してきた俺様の苦労が消えちまうんだよ。いい加減にしねえと、てめえの首を打ち落としてこんな徒労はやめちまうからな!」

狂戦士の証その真紅の瞳を一層血走らせ、本気の声で脅しかける。

「ご、ごめんよ、カーロン…、恐ろしさに震える脚が勝手に動いて…」

ガクガクと震えながらしどろもどろに答えが返った。

「だったらなあ、その脚…二度と勝手な事をしねえように今すぐ俺様がぶった切ってやるぜ」

そう言い放ち深々と突き刺さっていた剣をあっさりと引き抜き、戦士は邪悪なるその大剣を若者に打ち下ろす。

しかし、邪剣は虚しく土を抉るばかりだった。


「確かになカーロンよ、こんな軟弱な脚などポリテシャンにとっても無用の長物じゃが、王には見てくれも大切でのお、今ここで切り落とさせるわけにもいかないのじゃよ」

怯える若者を膝に乗せ、紫の着衣の少女が代わりに答えた。

「邪魔をすんじゃねえ、この腐れ魔女が!その泣き虫野郎の何処が王だ!」

再び大剣を振り翳し行き場のない紅蓮の怒りを振り回す戦士。

「わしが言うておるわけではないのは承知であろうカル。黒口の山猫の言葉は揺るぎなく真実のみじゃ」

「主も身に染みて知っておろう、まずはこの争いの勝ち負けが、王への長き道の導となることを」

その名を聞いたとたん大人しくなる狂戦士。

「くそっ、勝手にしやがれ!」

紫の淡い光に包まれたままの若者とその場を残して、怒りの収まらない戦士は再び争いの渦の元へと駆け出した。

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覚醒 2

双子の神


「俺様の剣はどこだ?鎧は?それに此処は何処でいつの時代だ?答えがなきゃルナン、
てめぇの首をひっこぬくぞ!!」カーロンは一気にまくし立てた。

「まぁ落ち着けよカル、主のカラッポの頭でもわかるように順番に説明するかの」

狂戦士を目の当たりにしながら、小柄な少女はしれっと応えた。

「そもそも、わしの首など引き抜いても無駄な事は百も承知じゃろ、マイスィート・カルよ」

怒りに燃えるカーロンを見上げ、少女は懼れる様子もなく囁く。

「てめぇ!もう一度その呼び方をしやがったら、二度と生えてこなくなるまでその首を何千回でもひっこ抜いてくれる!」

戦士の怒りの怒号にも、少女はただ笑い声をあげるばかりだった。

「何千でも何万でもやってみるが良い、わしの首は無限に生え変わるだけじゃ」

「化け物めが!」

「化け物はどっちじゃ?呪われしエンドレスファイターよ。主ならば、たとえ悠久なる時が潰えても永劫に死体の山を築きながら戦い続けるじゃろう、あの忌まわしきパイオニアウォーの時のようにな」

疲れたかのように少女は座りなおし話を続ける。

「てめえ、答える気がねえな!」

カーロンは構わず少女にと近づき、問答無用とばかりに乱暴に髪を掴みその細首を引きむしった。

だが面妖にも、あっさりと毟り取られたはずの首は、何事もなかったように笑いながら喋り続ける。

「主 の武器と防具は双子共の気まぐれな介入の時に、まさに主が神隠しに囚われた時に、次元のハザマで消え去ってしまったのじゃよ。このわしでさえ、主の身体と 言霊をこの世界に戻すのが精一杯じゃった。それでも、三年ばかりの月日を費やしたのだがの。呪われし不死身の身体ゆえ戻せたのかもしれんが」

「そ れじゃあなにか?俺様の相棒Sword of the Undead <亡者のつるぎ>とArmor of darkness <暗黒の鎧>は消えちまったのか…ファイターがこんな農夫の格好でどうすると言うんだ…」

いつのまにか少女の首は戦士の手から消え、代わりに座り込んだま まの少女に新しい異様な首が生えていた。

その首は先程の紫の鳥の頭を大きくした不気味なものであった。

耳障りな声が嘴から漏れる。

「その農夫の着衣Clothing of fool <愚者の衣>はかつての主の鎧の半分ほどの耐久力しかないがの、対魔道は倍ほどあるのじゃ、そして加力は三倍、つまり常人の倍以上ある主の腕力なら小指で小娘の身体を引きちぎれるのだぞ」

「じゃあ、そうしてやろうか」

「し かし主のつるぎ以上の破壊力と邪力を秘めた剣は、この世界この次元には未だ存在してはないのじゃ、代わりにとっておきの武器として足元の鎖Chain of God sealed <封神の鎖>を遣わそう、それならばあの双子神ベルン・ベルナ共に捕らえる事もできようぞ」

応える間にも鳥の顔は少女のそれに変化してゆく。

「まぁいい、てめえがそこまで言うなら嘘はないんだろう…」

少しだけ落ち着きを取り戻し狂戦士は穏やかにつぶやく。

「それで…此処は何処の何時だ?」

「無限の時に弄ばれる主にはあまり意味がないと思うが此処はキングダム・ポリティシャン、ざっと半世紀は経っておる。双子の介入で断ち切れたパイオニアウォーの幕切れのときからな」

「ポリティシャン?あの泣き虫ポルの小僧の国か?」

カーロンの声は驚きの色をともなって周囲に響き渡った。

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